「へんなどうつぶ」
へんな動物? じゃなくて へんなどうつぶ。
タイトルからしてふしぎです。この表紙のオレンジのしっぽの長いいきものが「どうつぶ」なんですって!
「100まんびきのねこ」をかいたワンダ・ガアグに惹かれて、他の作品を読んでいるところです。
ボヘミア出身の移民の父を持ち、アメリカでグラフィックや絵本の仕事をしていたワンダ・ガアグ。絵のタッチはやはり東欧のクラシックな昔懐かしい雰囲気もありながら、このお話ではふしぎなファンタジーの世界に連れて行ってくれます。
「どうつぶ」がたべるものはこどもたちが大事にしている「人形」。「それに とっても うまいぞ いいこどもたちの にんぎょうは!」と舌なめずりする「どうつぶ」は困った存在ですが、ボボじいさんにしっぽをほめられるとうれしくてころげまわっちゃったりして、なんだか表情が愛らしかったり。
わるいやつなの?いいやつなの?いったいこの生き物はなんだろう?
この「これはなんだろう? これはどういうことなんだろう?」という感覚が「どうつぶ」という名前がでてくるとき、どうつぶが人形をたべるのがだいすきというとき、結末が明かされる時、とずっと続きます。
この謎が、すっきりしないからいや、となる人もいるかもしれません。
でもわたしはこの絵本を読んで自分の中に謎が残る感じがここちよくて大好きです。
こどもたちのなかにも「あれはなんでだろ?」ってぼんやり謎が残る感じを楽しんでもらえたらいいなとおもいます。
生きることは、この年になっても謎だらけ。こどもたちだって、初めての経験を重ねながらたくさんの謎の中で大きくなっていきます。だったら謎を味わいながら、「どういうことなんだろうね?」と対話しながら生きていった方が、豊かな人生を送れそうな気がします。
<あらすじ>
山奥に住むボボじいさんは、毎日山へやってくるどうぶつ達のために美味しいものを用意して待っています。ある日そこへ変わった動物がやってきました。
ボボじいさんが「なんちゅう、どうぶつだい?」と聞くと、「ぼか どうぶつじゃない。どうつぶ」と答えました。
へんなどうつぶの大好物が、良い子の人形だと知って、悲しくなったボボじいさんが思いついたこととは・・?
ワンダ・ガアグの幻の名作、待望の復刊です。長く待ち望まれていた絵本です。
(あらすじの文章はAMAZONより)