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大人が変われるか

honcierge.jp

この記事を読んで、2020年の大学受験改革に伴い、教育現場もいろいろ変化の兆しがでてきたのかなあと感じました。

 

結局、大学受験を変えないと変わらない、というのが情けなくもありますが、いい方向に変わるならいいな、という期待もあります。

 

ペーパーテストに受かればいい、という現状が変われば、詰め込み式の勉強ではたちうちできない、ということになり、徐々に自分の頭で考えることが推奨されるようになっていくのでしょうか。

 

いま流行りの中学受験は廃れていくのでしょうか。

 

わたしが一番変わってほしいのは、親がきちきちとこどもの将来の計画を決めてしまい、それにこどもがつきあわされる、という風潮です。

 

また、学校や塾でこどもの力を信頼して任せるのではなく、このやり方がいいに決まっているから先生のいうことを聞きなさい、という一方通行な指導方法です。

 

この著者も含めて、新しいタイプの塾は増えてくるでしょう。そこにビジネスチャンスをみつけて起業するのもいいし、詰め込みじゃなく、楽しく想像的な学びのできる場が増えるのもいいとおもうのですが、それだけだとなにか足りない気がするのです。

 

例えば親がいま主流の塾は使えないと判断して新しいタイプの塾に乗り換えさせる。それだけでいいのかなとか。学校は従来の一方的に知識を垂れ流すみたいな授業のままでいいのかなとか。親が不安になり、いまよりもさらに中学受験熱が高まる可能性もありますね。

 

こどもに新しいことをやらせる、という意識だけでなく、親や教師といった教育に関わる大人世代の人たちが、新しい自分に生まれ変わる、くらいの意識が必要ではないかとおもいます。

 

うまくことばにするのが難しいですが、いまの親や教師の世代の大人自身がいまできあがった学校教育に適応して大人になっている人たちなわけです。口先だけ、表面だけでこどもを簡単に新しい人間に育てられる、とおもうこと自体が間違いなのではないかと。

 

例えばテストの点がよければいい、いい大学に受かっていい企業に就職できれば幸せになれる、という価値観がありました。目に見えるところだけできていればいい、というような価値観が蔓延してしまって、それはいつのまにか勉強のことだけではなくなって人生自体が目に見える偏差値ではかられるような時代でした。

 

でもそういう時代はもうすぐ終わるかもしれないのです。

 

目に見えないその子の可能性、目に見えない潜在的な才能、ペーパーテストではかれない思考力、独創性、偏差値的なことじゃなくて人間的な才能、そもそもいまの大人には測れない才能、いろいろあるわけですが、それを見る目を持つことが必要とされるとおもいます。

 

もちろんいままでだってそういうことは必要だったのです。でも競争社会を生き抜くため、受験戦争に勝ち抜くため、というお題目のために黙殺されてきました。

 

記事の中で新しい価値観は「丸の価値観」として提示されています。

 

一方で、21世紀を生きる親の中には、「社会を丸にみる」価値観が生まれつつある。世の中はまだ競争社会の側面もあるが、同様に確かなことは多様化である。多様な社会を生きる個人の幸せの大小は、もはやひとつの物差しで決めることはできない。だとするなら世間の物差しではなく自分の物差しで生きることが大切だ。好きなことを見つけ、ワクワクしながらチャレンジすること。それが人生において何より大切だ、という価値観だ。

この価値観をもつ親にとって、社会は「丸」に見えている。放射状に広がる多様な価値観や生き方で、そこに上下はない。問われているのは「自分はどの方向へ進みたいのか?」という自らの価値観でありビジョンだ。

「あの人たちの後に続きたい!」という共感と言ってもいい。驚いたり感動したりする感覚を大切に、自分で航路を決めていくのが人生だ。だから、こうしろ、ああしろと指示するよりも、子どもの主体性を尊重したいと願っている。

従って教育は次のようなものとみなされる。 子どもは何をやりたいのか?どんな資質があるのか?その問いの答えを創造していくこと。これが教育の本質であると考える。だから読み書きそろばんを始め、英語力やITスキルなどの能力開発にだけ取り組むのではなく、興味関心を広げ、生涯を通じて探究したいと思えるテーマや分野を見つけていくことが何よりも大切と考える。

なぜならば、もし能力開発だけに取り組むなら、それは目的地がわからないまま大きな船を作るようなものだからだ。装備は立派でも行く先のわからない船に、いったいどんな意味があるのだろう。

子ども達にとって、こうした教育はもう「勉強」とは違うものに見えるだろう。

  強制されて勉めるもの、嫌々やるものではなくなるからだ。自分の人生を創造するための学習。それは子ども達にとってワクワクすることであり、まさにアクティブに、自発的に取り組みたいこととして受け止めるだろう。

 

子育てにおいて一番のキーパーソンである「親」。そのひとりひとりが、新しく生まれ変わってこどもに「どっちにいったらいいかな?」と聞くようなスタイルでこどもを応援していくことができたなら。親自身がわくわくしながらこどもの冒険(人生)につきあうことができたなら。

 

少なくとも変化の兆しは出てきたわけで、おもしろい時代になる可能性がある、それだけでなんだか明るい気分になることができました。

 

 追記:2020年度の大学入試改革については、まだ議論の真っ最中でよく決まってないのではという話も聞き、実際どんなものかと調べています。こちらの文科省の資料を読んでいるところで、長いのでまだはっきりわからないですが、PISAに対応した力、主体的に考える力を問う、という表現はありました。また、記述式の問題が増えることで、自分の頭で考えているかどうかを見ようとしているようではあります。

 

新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)(中教審第177号):文部科学省