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レンズーリの「個性と才能をみつける総合学習モデル」を読みました その2

J.S. レンズーリ 「個性と才能をみつける総合学習モデル」を読んで、印象に残った部分を要約や引用でお伝えします。この記事ではおおまかな概要についてです。

 

その理念ですばらしいとおもうところはすべての子どもを対象としているところです。また、才能というものの捉え方にも注目です。

 

「才能教育」から普通教育での「才能伸長」へというパラグラフでは次のように書かれています。

 

(1)「すべての」子どもに、広範囲の高度なレベルの拡充〔学習を広く深く個性化する〕の経験を提供する。

(2)そういう経験への多様な「子どもの反応」の仕方を、個人や小集団として適切なフォローアップをするための足がかりとする。

 ここで注目したいのが、教師から生徒へ一方的に教えたいことを伝えるのではなく、子どもの反応の仕方をしっかり捉えて、活動に生かすということですね。双方向的なコミュニケーションのかたちになっています。とても風通しのよさそうなアプローチです。

 

才能についてはこうもあります。

このアプローチは、誰が「英才」「才能児」で、誰がそうでないかと認定するような、新しい方法とはみなされない。そうではなくて、このプロセスでは、その後の「機会や資料、症例」をどのように与えて、必修と自己選択両方の活動に子どもがますます関与するのを支持できるか、ということがわかるだけだ。このアプローチは、子どもや若者に高度の多様な潜在的能力を伸長させることをめざし、ある子どもに「才能がある」とラベルつけをする(案に他のすべての子どもを「才能がない」カテゴリーに追いやる)ような、因習的なやり方を避けるよう意図的に計画されている。

 他の部分にもこんな文章があります。


特別指導は「才能行動」をただみつけたり確かめたりするだけではなく、それを伸ばす機会だ、とみるべきである。

すばらしいです。全面的に賛成です。

 

 他にわたしが素晴らしいとおもった部分をリストアップします。わたしのコメントは→マークの部分です。

 

◯いまの学校で一般的に行われる画一的、一方的な学習モデルではなく、子どもが自発的に喜びを持ってプロジェクトを行うことが推奨されるところ

◯個別のこどもの興味や学習スタイルに沿ってテーマや活動内容を選んで活動する

→そのことで、さまざまなタイプの子どもに必要な学習が可能になる。ギフテッド、発達凸凹その他学校での学習スタイルに不適応な子どもにも対応できる。

◯創造的、生産的な人材を育てることをゴールとしている

→もちろん才能にもいろいろな性質のものがあり、誰にも理解されず、評価されない才能というものにもきっと意味はあるとおもいます。ただ、教育のゴールとしては、社会に対してその才能を活かした貢献をする、そしてそれに対して評価されたり、感謝されたり、対価を得たりすることを目指すのは大切です。喜びを持って才能を活かした仕事をし、それで自立した生活ができれば人間としてすばらしい生き方ができるとおもいます。決して自分だけで自己完結するのではなく、周りも幸せにして、それによって自分も幸せを感じて生きられれば素敵です。

 

また、こんなことも書いてあります。

変化をもたらすには2つの固定観念を打ち破ることが大事。
(1)一人の人や一つの集団だけが正答を知っている、(2)変化は直線的だ、という考え。

 これは地味に噛みしめたい、深いことばですね。前提として心に留めておきたいです。

 

次は拡充学習の大事な4つの概念になります。

◯拡充学習・教授の4つの概念
(1)それぞれの学習者は一人ひとりちがう。したがって、すべての学習経験は、個人の能力や、興味、学習スタイルを考慮する必要がある。

 

これは何度も紹介していますが、それぞれ一人一人に合ったプログラムになるよう工夫するということですね。そしてそれは興味の方向を幅広くすることでもあるし、それだけでなく学び方の好み、表現方法の好みなども反映して活動するということです。

 

(2)学習は、子どもが自分のしていることを楽しむときのほうが、効果的である。したがって、学習経験は、他の目標だけでなく楽しみも考慮して構成され評価されるべきだ。

 楽しい方がたくさん学べる!だからできるだけ楽しく(といってもただおもしろおかしいという意味ではないでしょうが)学べるように活動を工夫する。いまの学校に足りない発想ですね。

 

(3)学習は、内容(つまり知識)と方法(つまり思考スキル、探求方法)が現実の問題の状況で学習されるときのほうが有意義で楽しくなる。したがって、子どもは問題に取り組む現実的な本物の方法を用いるべきだし、実社会の発表相手の心を動かすように努力すべきだ。

 これは机上の知識を教え込む方法よりも、実社会と接点を持って課外学習的なアプローチにした方がよいという考えですね。大人が興味を持ってくれたらうれしいですね。

 

(4)拡充学習・教授は、知識を増大させ、思考スキルを獲得することに焦点を合わせる。したがって、形式的教示と並んで、子ども自身が意味を理解して構成するような知識とスキルを応用する機会も重要だ。

 

 

 

これらの原理に導かれる学習の最終の目標は、依存的で受動的な学習の代わりに、独立的で積極的に関与する学習を行うことだ。きわめて保守的な教師でなければ誰でも、これらの原理に同意するだろう。

 

 依存的、受動的な学習でなく、独立的で積極的に関与する学習。そうですよね。大賛成です。

 

もともとのレンズーリの価値観がとても自由独立なところがあり、そこにとても共感しています。やり方は、いろいろと現状に合わせて工夫していく必要があるにしても。

 

拡充学習、なかなか魅力的なのですが、どこからどうやって手をつけようかというところで止まっています。

 

あまり厳密な定義にとらわれず、あれこれ試行錯誤してみるつもりです。またぼちぼち記事を書いていきますのでよろしくおねがいします。