「だいすきがいっぱい」
だいすきがいっぱい (主婦の友はじめてブック―おはなしシリーズ)
- 作者: ジリアンシールズ,ゲイリーブライズ,Gillian Shields,Gary Blythe,おびかゆうこ
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 大型本
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図書館でこんな絵本に出会いました。
この表紙の女の子の寝顔、かわいいですね。ぬいぐるみのくまも幸せそう。
白いけがわに赤いちいさなぼうし。胸のまんなかには、音楽をかなでる魔法のねじ。くまのぬいぐるみは、自分のなにもかもがじまんです。「ぼくのなまえは、『さわらないで!』」おみせにいたとき、自分の横にそう書いてあったので、くまはそれが自分のなまえだと思いこんでいました。そして、そのとおり、さわられるのがだいきらいでした
ある日女の子のところにやってきたぬいぐるみのくま。赤い帽子もふわふわの毛皮も、胸についているねじも、それをまわすと歌をうたえることもなにもかも自慢だったけど、赤い帽子は風にとばされ、雨ざらしになって毛皮もきたなくなり、胸に入っているオルゴールは雨に濡れてこわれて鳴らなくなります。
女の子は手術してあげましょうね、といって胸を切ってオルゴールを取り出し満足そう。がっかりしているくまには気がつかず、「この方がずっと抱っこしやすくなったわ」といって毎晩くまと寝るようになります。
「どうしたの?」
ふるぼけたももいろうさぎが、くまにやさしくこえをかけました。
「ぼく、だいじなものを、ぜんぶなくしちゃったんだ。もうだれも、ぼくのことをほめてくれないだろうなあ......」
くまはべそをかきながらいいました。
「ほめてもらわなくたっていいじゃない。だいすきになってもらうほうが、ずっといいでしょ」
「だいすきって?」くまは、うさぎにたずねました。
「しらないの? くまのぬいぐるみには、だいすきがいっぱいつまってるのよ」
ももいろうさぎはわらいながらいいました。
「ほうしとか、けがわとか、ねじとか、そんなものどうだっていいじゃない。どうせいつかはとれちゃうんだから。ほんとうにたいせつなものはね、いつまでもじぶんのむねのなかにあるのよ」
このとき くまにはうさぎのいってることがよくわからないのですが、この後ある事件をきっかけに、「だいすき」ってこういうことなんだと知ります。そして「だいすきがいっぱいつまったくま」になるのです。
だいすきってどういうことか、具体的に描写してあるところもいいです。愛とかだいすきなきもちとか、説明が難しいけど、この絵本をよんだら、こどももそういうことか、そうだよねっておもえるんじゃないかとおもいます。
毛皮が汚れてもオルゴールが壊れても、女の子に愛されて幸せなくま。だいすきがいっぱいつまったくまの幸せ。
いつか失われるものもたくさんあるけど、ほんとうに大切なものはいつまでも自分の胸の中にある。そういうことは、なかなか日常生活ではお話しないけど、伝えておきたい大切なことです。
そんなことも絵本を通じて感じてもらえるかなとおもいます。
とても素敵な絵本です。挿絵は女の子の表情がよく捉えられているのがいいです。不安な顔、集中してる顔、くまをお世話してる時の顔...。
残念ながら絶版のようなので図書館で探してみてくださいね。
こちらのサイトで詳しく紹介されています。