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農業が子育ての、そして生き方のスタイルを変えた その2

文化人類学者のマーシャル・サーリンズが狩猟採集民の社会を「最初の豊かな社会」と呼んだことは有名です。彼らはたくさんのものを持っていたからではなくて、彼らのニーズがあまりにも少なかったため、豊かなのです。

 

彼らは少ないニーズを比較的少ない仕事で満たすことができました。結果的にたくさんの自由時間を持っていました。その時間を「歌ったり、歌を作曲したり、楽器を演奏したり、複雑なビーズのデザインを縫ったり、物語を語ったり、ゲームをして遊んだり、他のバンドを訪ねたり、横になったり、休んだり」して過ごしたのです。これらの活動は生活に満足している人ならどこでもしていることです。

 

環境問題や地球温暖化の問題が叫ばれて久しいですが、地球上の人類が狩猟採集民的な生き方に移行すれば、あっという間に解決しそうです。

 

また、ものがありすぎて断捨離だとかミニマリズムということもいわれていますが、狩猟採集民的生き方はそんな時代にまさにぴったりです。

 

農業が、徐々にこれらをすべて変えたのです。安定的な食料供給は、人々により多くの子どもをもつことも可能にしました。農業は、放浪の民として暮らすのではなく、自分たちが育てている作物の近くに定住することを可能にしました(というよりも、強制しました。)

 

しかしながら、この変化はより長い時間を労働に費やさなければならないというコストを伴っていたのです、狩猟採集民は自然が育ててくれたものを巧みに収穫したのに対して、農民は耕して、植えて、栽培したり、家畜の世話をしたりなどしなければならなくなりました。

 

農業で成功するには、長時間の比較的熟練を要しない、繰り返しの作業が要求されるのです。それらのほとんどは子どもでもできるものです。家族も大きくなったので、子どもたちは若い兄弟たちを食べさせるために畑で働いたり、家でその子たちの世話をしたりするようになりました。子どもたちの生活は徐々に、自分自身の興味関心を自由に追求することから、家族の手助けとなる仕事をする時間に移行しました。

 

 農業で必要とされるのは長時間の繰り返しの作業、しかも熟練の必要がないものだったのですね。これが産業革命後の工場での労働や、いまでいうマックジョブというだれでもできるような仕事のルーツとなっていそうです。

 

そして、ここで注目すべきは、こどもたちの生活の変化ですね。いままで自分自身の興味関心を自由に追求する毎日を送っていたのに家族のために労働するようになっていったのです。