「キリクと魔女」
フランスのミシェル・オスロ監督をご存知ですか?
アニメ映画を作る人でその作風はいわゆる「子供向け」というものとは一線を画しています。
画面の美意識の高さ、音楽の質の高さ、ストーリー、どれも子供向けだからこの程度だろう、というようなところがなく、大人が唸ってしまうような上質の作品です。
もちろんこどもも楽しめるのでわたしは大好きで、ほぼ全作品をDVDで持っていて時々こどもと一緒に楽しんでいます。
オスロ監督のデビュー作で代表作といってもいいのがこの「キリクと魔女」です。
アフリカを舞台になんでも「なぜ?なぜ?」と聞くキリクというとても小さい男の子が魔女と対峙する、というのが基本のストーリーですが、そのメッセージはとても深いです。
小さいキリクの武器は開かれた心、知恵、恐れを知らない心で、お話は全体を通してユーモアのあふれるゆったりとした空気で満ちています。
結末も単なる勧善懲悪とは違う、ひねりの効いたものになっています。
わたしが好きなのは、キリクがお山の賢者と対話するところです。
魔女と対決するのが怖いから、お守りをくれない?とお願いするキリクに賢者は答えます。
お守りは役に立たない。魔女は迷信から力を得ているのだから。でも、おまえの「なぜ?」と問い続けるような目覚めた知性こそが魔女を震え上がらせる力を持っているのだよと。
(うろ覚えなので大体の雰囲気とお考えください。)
大人にもこどもにもおすすめです。こんなに素晴らしいのにあまり知られてないことに驚きます。
音楽はユッスー・ンドゥールです。日本語版はジブリが作っているそうです。
他の作品も素晴らしいのでまた紹介したいです。でもネタバレしないで紹介できるのでしょうか???