「リボンの騎士」
昔の作品で、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、手塚治虫が女の子向けに描いた漫画を原作に、TVアニメで放映されていたものです。
とある王国のサファイア王子。女性は王位を継げないという決まりのため、男の子として育てられてきたサファイアですが、実は女の子。それにしても生まれつきの男の子のように剣術や乗馬やいたずらを楽しむサファイア。その秘密は生まれた時に天使のチンクが間違えて男の子の心を入れてしまったから。チンクはその間違いのために天国から地上に降りてサファイアから男の子の心をとって女の子に戻そうとするけど...。
フリフリリボンの帽子をかぶりつつ、剣で悪者と戦うサファイアは痛快だし、女子の好きなプリンセスの要素もあり、基本は時代劇のような痛快娯楽活劇です。
王国を乗っ取ろうとする悪者、ジュラルミン大公やナイロン卿、隣国の王子フランツ、サファイアの男の心を狙う魔王メフィストやその娘ヘケートなど、魅力的なキャラクターが次から次へと出てきて物語が展開していきます。
後半はジュラルミンの策略にはまって高い塔に幽閉されたり、血も涙もないX連合の侵略ありでなかなかシリアスな展開です。
なかでもジュラルミンとナイロンが権力欲のあまり、Xに利用され、だまされ狂ったようになるシーンなどは、シェイクスピアのマクベスを思わせる迫力。子供向けの娯楽作品なのにそういうところは容赦のないのがさすが手塚治虫です。
また、悪魔の娘ヘケートが人間の兵士に恋をしてしまい引き起こされる悲劇もまた印象的です。
昔の作品なので、たとえばアニメの技術が昔っぽいとか、なんかここセリフで全部説明しちゃってちょっと押し付けがましいなとかとか細かく気にすればいろいろあるのですが、なんといってもこの作品の魅力はサファイヤが生き生きと躍動しているところです。
堅苦しい王族の決まりごとや大人の謀略や悪意、そういうものにNO!といって剣でやっつけて自分らしく輝いている、そういう姿に現代の大人も子供も胸のつかえがおりるのですよね。
わが家では、王女さまと王子さまの役を1人で代わる代わる演じて1人ミュージカルしている下の子が気に入るかな?と思い誕生日かなにかにプレゼントしたのですが、姉妹で気に入って時々みています。