ねこちゃん事件ー敏感な子の事件簿その1
この間、ふとしたきっかけで、上の子がこの「ねこちゃん事件」のことを思い出して、懐かしいねと話していたのでそんなこともあったなと思いました。その時は大騒ぎだったけど、いまは懐かしいと振り返ることができるくらいになったのですね。
うちの子たちは基本的に敏感さを持っており、わたしがどう対応したらいいか全然わからないままに育てた上の子は、小さいころほぼ毎日ギャン泣きしていた過去がありますが、徐々におちついてきて、いまは他の人にはほぼわからないレベルです。もちろん敏感さがなくなるわけではないのですが、小さい頃ほど困ってはいないですね。
ざっくり説明すると、乳児の頃は抱っこから下ろすと激しく泣くので、エルゴの抱っこ紐でほぼ1日中抱っこし、あとは授乳服でいつでも授乳できるようにして乗り切りました。
満3歳で入園した幼稚園ではしょっちゅう泣いていて、他のママたちに気にかけてもらってる存在でした。
ちなみになぜ満3歳で入園したかというと、その時点でわたしの姿が見えないと号泣して止まらない状態だったので、このままではその頃生まれた下の子の育児ができない恐れがあったので、無理を承知で入れざるを得ませんでした。
癇癪を起こすとどこでも泣いたり怒ったりして止まらなくなり、道端で寝転がって暴れるなど日常茶飯事で、見知らぬ優しいおばさまがたが親切にあめやらなにやらくださったことなど数知れずです。
これから時々上の子の小さいころの敏感さ全開エピソードを、思い出した時に綴っていこうとおもいます。
今回はねこちゃん事件についてです。
これはこどもが3歳くらいのときの事件です。ねこちゃんというのはぬいぐるみでもなんでもなくて、わたしが使っているホットウォーマーというのでしょうか。ねこのかたちをしていて、中につめものがしてあって、電子レンジであたためて冷えていたりこったりしている肩や腰にあてるというものです。
たしかにこどもがねこちゃんとよんで時々話しかけているのは知ってましたが、基本的にはわたしのものだし、目や鼻がついてるわけでもなく、それほどこどもが親しみを感じているとは知りませんでした。
そんなある日、そのねこの形のホットウォーマーをレンジで温めていたらへんなにおいがしてきました。焦がしてしまったのです。ところどころ溶けてしまって、においも臭くてとても使えそうにないので、ゴミ箱に捨てました。
その後、ゴミ箱を見たこどもが突然泣き出しました。「え?ねこちゃん?どうして?なんで?」と号泣しています。
こちらもなにがなんだかわからずパニックです。
とりあえず「えっとね、もうこげちゃったからね、つかえなくなっちゃって... 」としどろもどろ。
こどもは「ねこちゃんは死んじゃったの?」と容赦がありません。ちょうど死について意識する時だったのかもしれないし、わたしがおもっていたよりも、ぬいぐるみ、お友達として愛着を持っていたようでした。
あまりの号泣振りに、こちらも仕方がないので覚悟を決めてつきあうことにして、説明を試みます。
「そうだね。ねこちゃんは死んじゃったんだよ。」
しかしそこで話が終わるわけではありません。
「ねこちゃんは死んだらどこへ行くの?」ときました。
こういう時に備えてどう答えるか考えておけばよかった、と思っても後の祭りです。しかも相手は待ったなしです。
「ねこちゃんは死んだら天国に行くんじゃないかな」といってみました。
でも説明したからといって、本人の悲しみがすぐおさまるわけもありません。わんわん泣いています。
「かなしいね」となるべく受け止めてみます。
それでも泣いています。
泣きながら「もうねこちゃんに会えないの?」「さびしい!」といっています。
なので「じゃあねこちゃんにお手紙書こうか」といってみました。
泣きながら「うん」というので、内容を相談しながらわたしがお手紙をかきました。
「ねこちゃん たくさんあそんでくれてありがとう。天国にいっても忘れないでね」とかそんな感じだったとおもいます。
ふうやれやれとおもっていると「どうやったら天国にお手紙届けられるの?」と聞かれました。
しまった!そこはかんがえていませんでした。
苦し紛れに「きっと燃やせばお空の上に届くんじゃない?」といい、ベランダで燃やしました。
ここまで1、2時間かかったでしょうか。
こちらがしっかりおつきあいしたおかげか、だいぶおちついてきて一件落着。
敏感な子の対応に、決まった1つの正解があるわけではないでしょうが、実例としていま困っている親御さんの参考になれば幸いです。
うちでは、ありとあらゆる方法を試してみました。怒ってみたり怒らないでいてみたり、失敗したこともたくさんあるのですが、こどもに実験台になってもらいながら、いまこうしたらいいかもとおもうことはあります。
それは基本的にとにかくその時のこどもに寄り添って、話を聞くことです。原因がわかることもあるし、わからないこともあるけど。原因がわかればできるだけとりのぞいてあげるようにします。でもわからなくてもその子がいま感じていることを尊重して、大変だねと共感してあげることが大事なのかなとおもいます。
いくら寄り添っても、親に甘えてやつあたりしていることもあるのできりがないこともあります。こちらが疲れたら「いいかげんにして」とはっきりいうこともありました。そこは率直に、ひとりの人間として誠実な対応をこころがけました。そうでないとこっちも持たないですし。
この子は大人になってちゃんとやっていけるんだろうか?とかどこかおかしいのだろうか?という不安はありましたが、できるだけ不安を押し付けないようにはこころがけました。
自分が全てわかっている、と判断を押し付けない、といってもいいかもしれません。そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれない、と思う心の余裕を常に持つように。どっちに行くかはこどもに教えてもらうように。
そんなことをこどもには教えてもらいましたね。